葬儀の受付における孫の1日は、静かな緊張感とともに始まります。開式の1時間前、私は受付の椅子に座り、卓上の備品を最終確認しました。黒い布が敷かれたデスクの上には、新しい芳名帳と、書きやすいように配置した数本の筆ペンが並んでいます。斎場のロビーにはかすかにお線香の香りが漂い、遠くで読経の練習をする僧侶の声が聞こえます。最初の参列者が現れたのは、開式の45分前でした。祖母の生前のご友人という、背中の少し曲がった年配の女性です。彼女が「この度は、本当に……」と言葉を詰まらせながら香典袋を差し出したとき、私は深く頭を下げ、「おそれいります。お足元の悪い中、ご参列いただきありがとうございます」と答えました。預かった香典を盆の上で丁寧に受け取り、中身がこぼれないように脇へ置きます。そして、芳名帳を少しだけこちら側に向け、「恐れ入りますが、こちらにご芳名とご住所をお願いいたします」と案内しました。彼女がゆっくりと筆を走らせる間、私は彼女を急かすことなく、静かに待ちました。記帳が終わると、私は「ありがとうございます」と言って、あらかじめ準備しておいた返礼品の紙袋を両手で手渡しました。「こちらをお受け取りください。本日はありがとうございます」。彼女が会釈をして式場内へ進むのを見届けてから、私は預かった香典袋を確認し、記帳されたお名前と一致しているかを心の中でチェックしました。この一連の動作を、100回、200回と繰り返していくうちに、私の手元は自然と滑らかに動くようになりました。混雑時には、一度に数名の方が並ばれますが、焦りは禁物です。「少々お待ちください」と笑顔(穏やかな表情)で伝え、1人ひとりの目を見て対応することで、参列者の方々も落ち着いて対応してくれます。受付の途中、親戚の子供が走り回ったり、不慣れな参列者が質問をしてきたりすることもありますが、受付の孫という立場は、常に冷静で、かつ温かい対応が求められます。ふと、受付に並ぶ人々の列が途切れたとき、私は隣の従姉妹と顔を見合わせ、安堵の溜息をつきました。香典袋の山は、祖母がこの街で築き上げてきた信頼の証です。それを1つひとつ、大切に受け取り、整理していく作業は、まるで祖母の人生を私が肯定しているような誇らしい気持ちにさせてくれました。葬儀の受付という、一見すると事務的な役割の中に、これほどまでに深い感情と学びがあるとは思いませんでした。孫としてこの場に立てたことに、心からの感謝を感じた1日でした。