葬儀の場は、ある意味でその人の「常識」が最も試される場所かもしれません。普段どんなに仕事ができても、弔事での身だしなみが乱れていると、周囲からの評価を下げてしまうこともあります。特に目につきやすいのが胸元です。ブラックスーツの胸ポケット、ここに何を、どう入れるかが、あなたの評価を左右します。時折、葬儀に慣れていない方が、結婚式と同じ感覚で、光沢のあるシルバーのチーフを差していたり、ハンカチの角を3つ立てるスリーピークスで参列しているのを見かけますが、これは大きなマナー違反です。葬儀は「悲しみを共有する場」であり、自分を華やかに見せる必要は一切ありません。では、どうすれば恥をかかないのか。その答えは、徹底して「基本に忠実であること」に尽きます。白、麻または綿、TVフォールド。この3つのキーワードを忘れないでください。そしてもう1つ、意外と忘れがちなのが、ハンカチの「清潔感」です。いくら色が白くても、黄ばんでいたり、端がほつれていたりするハンカチは論外です。また、柔軟剤の香りが強すぎるのも、お線香の香りが漂う式場では迷惑になることがあります。無臭で、パリッと糊のきいたハンカチを準備しましょう。また、体格によってポケットのサイズは異なります。大きなサイズのスーツを着ている方が、小さなハンカチを差すと、ポケットの中に埋もれてしまいがちです。その場合は、ハンカチの中に白い厚紙を台紙として入れ、形が崩れないように補強するのも賢い方法です。逆に、ポケットが小さい場合に無理やり詰め込むと、胸元が不自然に盛り上がって太って見えてしまいます。そのような時は、ハンカチをカットして調整するのではなく、別の薄手のハンカチを選ぶなど、スマートに見える工夫を凝らしてください。こうした細かな「微調整」こそが、大人の配慮というものです。葬儀の最中、自分の装いに不安を感じてキョロキョロと周囲を確認するのは、非常に格好の悪いものです。家を出る前に、鏡の前で1分間だけ自分をチェックし、胸元の白いラインが水平であることを確認してください。その1分間の準備が、あなたに自信と余裕を与え、心から故人を送り出すための準備を完了させてくれるのです。
弔事で恥をかかないための胸ポケットの身だしなみ