妊娠初期の妊婦にとって、葬儀参列の最大の壁となるのが「匂いつわり」です。葬儀会場は常に線香の煙が充満しており、その独特な香りは、つわりがない人にとっても強い印象を与えるものです。つわり中の妊婦がこの環境に身を置くことは、激しい嘔吐や眩暈を引き起こすリスクが高く、非常に過酷な試練となります。もし、どうしても参列しなければならない場合、いくつかの対策を講じることで、少しでも負担を軽減できる可能性があります。まず1つ目の対策は、マスクの二重着用です。不織布マスクの内側に、自分にとって不快でない香り(例えばレモンやミントなどの柑橘系や、微かなアロマオイルを染み込ませたガーゼ)を忍ばせておくことで、線香の匂いを遮断する効果があります。ただし、アロマの種類によっては妊婦に使用を控えるべきものもあるため、事前に確認が必要です。2つ目の対策は、座席位置の指定です。式場の入り口付近や、窓が開いて換気が行われている場所、あるいは空気清浄機の近くに座らせてもらえるよう、スタッフに依頼しましょう。煙が滞留しやすい中央部を避けるだけでも、気分の悪化をかなり防ぐことができます。3つ目は、焼香の仕方の工夫です。自分の焼香が終わったら、そのまま焼香席の近くに留まらず、すぐに屋外やロビーへ退避する許可を事前に受けておきましょう。遺族も妊婦の体調は理解してくれるはずですので、無理に最後まで着席し続ける必要はありません。また、空腹になるとつわりが悪化する「食べつわり」を併発している場合は、音の出ない小さなゼリー飲料や、個包装の飴などをバッグに入れておき、隙を見てエネルギーを補給できるようにしておきましょう。水分補給も重要ですが、冷たい水よりも常温の炭酸水などが口の中をさっぱりさせてくれることがあります。しかし、これらの対策を講じても、線香の匂いを嗅いだ瞬間に気分が悪くなることは十分にあり得ます。その場合は、決して我慢せず、周囲に一言断ってすぐに会場を離れてください。葬儀という神聖な場を汚してしまうのではないかと心配する声もありますが、妊婦の不可抗力による体調不良を責める人はいません。むしろ、無理をして倒れてしまうことの方が、式を中断させることになり、結果として大きな迷惑をかけてしまいます。自分のつわりの程度を冷静に判断し、難しいと感じたら参列を辞退する勇気を持つことも、赤ちゃんを守るための立派な行動です。
つわり時期の葬儀参列と線香の香りの克服ガイド