葬儀における男性の身だしなみにおいて、胸ポケットのハンカチは「あるのが当たり前」というわけではありませんが、あることで「装いの完成度」が飛躍的に高まるアイテムです。しかし、不適切な素材や折り方を選んでしまうと、せっかくの志が逆効果になりかねません。まず素材について詳しく解説します。弔事において最も推奨されるのはリネン(麻)です。リネンは紀元前から「聖なる布」として重宝され、白のリネンハンカチは清潔さと不変の敬意を象徴します。また、リネン特有の適度な硬さは、胸ポケットに差した際に形が崩れにくいという実用的なメリットもあります。次に一般的なのがコットン(綿)です。リネンに比べると柔らかいため、折り目をしっかりつける必要がありますが、アイロンをきっちりとかければ葬儀の場でも十分に通用します。避けるべきはシルク(絹)です。シルクの光沢感はパーティーやお祝い事の華やかさを強調してしまうため、葬儀では「場をわきまえない人」と思われてしまう可能性が高いです。同様に、ガーゼ素材やタオル地も、カジュアルすぎて礼装には適しません。続いて折り方ですが、葬儀では「TVフォールド」一択であることを覚えておいてください。これは「スクエア」とも呼ばれ、ポケットの口と平行にハンカチを出す方法です。1.ハンカチを広げる。2.縦に4つ折りにする(ポケットの幅に合わせる)。3.下側を折り返して長さを調整する。4.ポケットに入れ、1cm程度だけ出す。この手順で、驚くほど端正な胸元が完成します。このとき、ハンカチの端にある縫い目が見えるのが気になる場合は、折り山の方を上にしても構いません。また、ポケットが深い場合は、ハンカチが中に落ち込んでしまわないよう、底にティッシュペーパーを詰めたりして高さを調整する工夫も必要です。葬儀中の動作でハンカチが斜めになったり、深く沈んだりしていないか、時折お手洗いの鏡などでチェックする余裕も持ちたいものです。こうした細かな配慮こそが、故人を偲ぶという行為の一部となります。胸元の1本の白い線は、悲しみの中にありながらも、礼節を忘れずに前を向こうとする参列者の誠実な心を映し出しているのです。
喪服の胸ポケットに適したハンカチの素材と折り方