弔電をいただいた際、最も丁寧で、かつ正式な感謝の伝え方が、後日送付する「お礼状」です。電話やメールと違い、形として残るお礼状は、相手への深い敬意と感謝の気持ちを、落ち着いて伝えることができます。特に、目上の方や、会社関係、そして手書きの美しい弔電をくださった方などへのお礼には、ぜひこの方法を選びたいものです。弔電へのお礼状には、伝統的な書き方のマナーがあります。まず、便箋は白無地の縦書きのものを選び、封筒も白無地の二重封筒が望ましいです。はがきでも失礼にはあたりませんが、封書の方がより丁寧な印象を与えます。筆記用具は、万年筆や筆ペン、あるいは黒のボールペンを用います。葬儀の際の香典袋の表書きのように、薄墨を使う必要はありません。これは、四十九日も過ぎ、ご遺族の悲しみも少しは癒えたであろうという配慮と、感謝の気持ちを明確に伝えるためです。そして、文章を書く上で最も特徴的なのが、句読点(「、」や「。」)を用いないという慣習です。これは、葬儀や法要が滞りなく、途切れることなく流れるように、という願いが込められているとされています。文章の構成は、以下のようになります。まず、時候の挨拶は省略し、すぐに本題から書き始めます。最初に、故人の俗名を記し、「亡父 〇〇 儀 葬儀に際しましては」といった形で始めます。次に、「ご鄭重なるご弔電を賜り 誠に有難く厚く御礼申し上げます」と、弔電をいただいたことへの感謝を明確に述べます。「温かいお言葉に 家族一同 大変慰められました」といった一文を加えても良いでしょう。続いて、「おかげさまをもちまして 滞りなく葬儀を執り行うことができました」と、葬儀の報告をします。そして、「故人が生前に賜りましたご厚情に 改めて深く感謝申し上げます」と、故人に代わって生前の御礼を伝えます。最後に、本来は直接お伺いすべきところを書中にて失礼することへのお詫びを述べ、相手の健康などを気遣う言葉で締めくくります。日付、喪主の氏名、住所を記して完成です。この一枚の手紙に、あなたの誠実な感謝の気持ちの全てを込めてください。