直葬のプロセスは、そのシンプルさゆえに、非常にスピーディーに進行します。その具体的な流れを、逝去の瞬間からご遺骨を骨壷に納める「収骨」まで、時系列で詳しく見ていきましょう。ご逝去とご遺体の搬送:まず、病院などで医師による死亡確認が行われ、「死亡診断書」が発行されます。ご遺族は、速やかに葬儀社に連絡を取り、ご遺体の搬送を依頼します。法律により、死後24時間は火葬することができないため、ご遺体は寝台車で、火葬場の安置施設、葬儀社の安置施設、またはご自宅へと搬送され、火葬の日まで安置されます。打ち合わせと手続き:ご遺体を安置した後、葬儀社の担当者と具体的な打ち合わせを行います。火葬場の日程予約、そして、役所への「死亡届」の提出と「火葬許可証」の受け取り手続きを進めます。これらの煩雑な手続きは、多くの場合、葬儀社が代行してくれます。この段階で、棺や骨壷、そして当日の服装などを決定します。納棺の儀:火葬の前日、あるいは当日に、安置場所にて「納棺の儀」を執り行います。これは、故人様の旅立ちの身支度を整え、棺に納める儀式です。ご遺体を清め、白装束(経帷子)を着せ、ご家族の手で棺へと納めます。故人が愛用していた手紙や写真など、燃えやすい副葬品を一緒に入れることも可能です。火葬場への出棺:火葬の当日、指定された時間に、安置場所から霊柩車で火葬場へと向かいます。参列するご家族は、自家用車やタクシーで直接火葬場へ向かうのが一般的です。炉前での最後のお別れ(納めの式):火葬場に到着すると、火葬炉の前で、最後の短いお別れの儀式を行います。棺の小窓を開け、故人様との最後の対面をし、別れ花を手向けます。宗教者を呼んで、炉前で簡単なお経をあげてもらうことも可能です。これが、直葬における唯一のセレモニーとなります。火葬と待機:参列者全員が合掌して見送る中、棺は火葬炉へと納められます。火葬にかかる時間は、約1時間半から2時間程度です。その間、ご家族は火葬場の控室で静かに待機します。収骨(骨上げ):火葬が終わると、係員の案内で収骨室へ移動し、ご遺骨を骨壷に納める「収骨(骨上げ)」の儀式を行います。この一連の流れを経て、直葬は終了となります。儀式的な要素は最小限に抑えられますが、故人を敬い、静かに見送るための、心のこもった時間は、確かにそこに存在します。
直葬の具体的な流れ、逝去から収骨まで