もし、友人や知人、あるいは遠い親戚が「直葬」で故人を見送ったという知らせを受けた場合、私たちはどのように弔意を示せば良いのでしょうか。お通夜や葬儀・告別式といった、参列してお悔やみを述べる場が設けられていないため、戸惑ってしまう方も多いかもしれません。しかし、たとえ儀式がなくても、故人を悼み、ご遺族を慰める方法は、いくつも存在します。まず、直葬はごく近親者のみで行われるため、原則として、火葬場に直接駆けつけるのは避けるべきです。ご遺族は、静かなお別れを望んでいる可能性が高く、予期せぬ弔問は、かえって負担になってしまうことがあります。最も丁寧で、ご遺族のペースを尊重できる弔意の示し方が、「後日の弔問」です。直葬から数日、あるいは1〜2週間が経ち、ご遺族が少し落ち着かれた頃を見計らって、事前に電話で連絡を取り、「ご都合の良い時に、一度、お線香をあげさせていただいてもよろしいでしょうか」と、許可を得てからご自宅を訪問します。この時、香典や、故人が好きだったお菓子、お花などを持参すると、より弔意が伝わります。長居はせず、お線香をあげさせていただき、少し故人の思い出話をしたら、早めに辞去するのがマナーです。もし、遠方であったり、ご遺族が弔問を辞退されたりした場合は、「香典」を郵送するという方法があります。必ず現金書留を利用し、その中に、お悔やみの言葉と、参列できなかったお詫びを綴った「お悔やみ状」を同封します。この手紙が、あなたの温かい気持ちを何よりも雄弁に伝えてくれます。供花や供物を、葬儀社を通じてご自宅へ送るのも良いでしょう。「弔電」は、火葬の日時が分かっていれば、その時間に間に合うように火葬場宛に送るか、後日、ご自宅宛に送ります。直葬という形式を選んだご遺族の気持ちを尊重し、決して押しかけることなく、しかし、あなたの心は確かにおそばにありますよ、というメッセージを、適切な距離感で、適切な方法で伝えること。その繊細な配慮こそが、現代の弔いにおいて、最も求められる心遣いなのです。
直葬でも心は伝わる、弔意の示し方