ご遺族の立場から見た「お花代」は、葬儀という儀式を執り行う上で、避けては通れない重要な「費用」の一つです。葬儀費用の見積書を見ると、この「お花代」は、様々な項目に分かれて記載されており、その総額が全体の費用に大きな影響を与えることを、多くの方が実感するでしょう。まず、最も大きな割合を占めるのが、「生花祭壇(せいかさいだん)」の費用です。これは、故人を祀る祭壇そのものを、白木などの伝統的なものではなく、たくさんの生花で美しく飾りつけるもので、近年、非常に人気が高まっています。祭壇の大きさや、使用する花の種類、デザインの複雑さによって、その価格は20万円程度の小規模なものから、100万円を超える豪華なものまで、大きな幅があります。故人の好きだった花を使ったり、その人らしいイメージの色合いで統一したりと、オリジナリティあふれるお別れの空間を演出できる一方で、葬儀費用を押し上げる大きな要因ともなります。次に、「供花(きょうか)」の費用です。これは、親族や会社関係、友人などから寄せられた供花の代金を、葬儀社が一旦立て替え、後でご遺族に請求するという形が一般的です。もちろん、いただいた供花は、香典と同様に、後でその金額がご遺族の手元に入る(相殺される)わけですが、一時的な支払いとして、見積もりには計上されます。さらに、棺の中に納める「お別れ花」や、枕元に飾る「枕花(まくらばな)」、そして、出棺の際に霊柩車を飾る花など、細かな部分にもお花代は発生します。これらの費用は、葬儀プランの中に「セット料金」として含まれている場合もあれば、「オプション料金」として別途加算される場合もあります。葬儀社との打ち合わせの際には、どの花がプランに含まれていて、どれが追加費用となるのかを、一つ一つ丁寧に確認することが、後々のトラブルを避けるために非常に重要です。美しい花々で故人を送りたいというご遺族の愛情と、限られた予算との間で、最適なバランスを見つけること。それが、後悔のない葬儀を実現するための、賢明な選択と言えるでしょう。