葬儀に参列し、お開きの際に遺族から会葬御礼を受け取ることは、弔事における一連の流れの中で自然な行為の一つです。会葬御礼は、故人のために足を運び、遺族を気遣ってくださったことへの感謝の気持ちを込めた品物です。受け取る側としては、この遺族の心遣いを真摯に受け止め、失礼のない対応をすることが大切です。形式的なものとして片付けるのではなく、感謝の気持ちが込められたものであることを理解し、敬意をもって接することが求められます。会葬御礼を受け取る際には、丁寧な言葉遣いを心がけましょう。「恐れ入ります」「ありがとうございます」といった感謝の言葉を述べながら、両手で品物を受け取るのが丁寧なマナーです。片手でぞんざいに受け取ったり、無言で受け取ったりすることは失礼にあたります。また、その場ですぐに品物の包装を開けて中身を確認する行為は避けるべきです。会葬御礼は、後日自宅に持ち帰ってからゆっくりと確認するのが礼儀とされています。葬儀の場は慌ただしい状況ではありますが、受け取る側も落ち着いて、感謝の気持ちを言葉と態度で示すことが重要です。もし、遺族が会葬御礼を辞退される意思を明確に示している場合は、その意向を尊重することが最も大切なマナーとなります。無理に受け取ろうとしたり、「そんな、お気遣いなく」と固辞する遺族に対し、受け取るよう強要したりすることは絶対に避けましょう。辞退された場合は、「お気持ちだけ頂戴いたします」と丁寧に述べ、遺族の判断に従うべきです。遺族には様々な事情や考えがあることを理解し、その選択を尊重する姿勢が、弔問に訪れた者としての心遣いです。自宅に会葬御礼を持ち帰った後は、遺族からの感謝の気持ちとして大切に扱います。中身を確認し、どのような品物であったかを知ることも、遺族の配慮を感じ取る機会となります。会葬御礼は、香典返しとは異なり、弔問という行為そのものへのお礼ですから、いただいた金額に見合うかといった考え方をするものではありません。品物の価値ではなく、そこに込められた遺族の感謝の心を受け止めることが、受け取る側の真の心構えと言えるでしょう。